第40回「アイメイト・デー」
2016年10月23日に開催された「アイメイト・デー」は、アイメイト使用者とアイメイト協会スタッフ、支援者らが一堂に会する年1回のイベントです。節目の第40回となった今年は、東京・竹橋の会場に44組の使用者・アイメイトのペアを含む計約280名が集まりました。来賓の挨拶、使用者・支援者・協会スタッフのスピーチと、アトラクションなどがありました。(投稿・内村コースケ)
今年は、就任したばかりの小池百合子東京都知事も駆けつけました。小池知事は、先の盲導犬使用者の地下鉄駅ホーム転落死亡事故について触れ、都営地下鉄などでホームドアの設置を進めていくと力強く宣言していました。同時に、問題はそれだけでは解決しないという認識を示していました。
これまでに重大事故を起こしていないアイメイト協会では、一部の盲導犬育成団体で間違った訓練(ハーネスをケース・バイ・ケースで左右持ち替えること。アイメイト協会では左手のみで持つように教えている)が行われており、それが事故の主要因となった可能性を指摘し、その問題から目を逸らしてはならないと問題提起しています。この件については、都議会で質問に上がっています。小池知事の後に登壇した塩村あやか都議会議員は、あいさつの中で、この件についても触れていました。
ホーム転落事故の事故原因に関するアイメイト協会・塩屋隆男代表理事の見解については、下のリンクの記事で詳しく書いていますので、拙文ですが、人の命と自由という人権の根幹に関わる問題ですので、是非、ご一読いただければと思います。
開会前には、アイメイト後援会員も会場前で来場者のご案内や受付などをさせていただきました。正しいアイメイト歩行は、視覚に障害を持つ方に歩行の自由と安全を保証するものです。後援会員はそのことをよく分かっていますので、会場案内係も、手取り足取り駅から会場まで「誘導」するわけではありません。基本的には晴眼者に対する案内と同様に、会場の入り口はどこにあるのか、建物内のどこの階段を使うのか、といった現地に来てみなければ分からないような細かな道順をご案内します。
「アイメイト・デー」の会場になったのは、一般的な民間のホールです。身体障害者補助犬法により、アイメイトをはじめとする補助犬は、ホールなどの公共施設に入場する権利があります。アイメイトは使用者の目となる「体の一部」であり、アイメイトの入場を拒否することは、使用者自身の入場を拒否するのと同じだという見解のもと、同法は定められています。もちろん、使用者とアイメイトの方も、一定のマナーを守るのは当然です。たとえば、アイメイトは、使用者の指示がない限り勝手に排泄しないように訓練されていますが、「アイメイト・デー」では毎回、指定の場所で「ワン・ツー」(排泄)を済ませてから入場します。もちろん、使用後は、協会スタッフらがきれいにワン・ツー場所を掃除します。
会の冒頭で登壇した小池知事には、訓練中のアイメイトと共に入場してもらいました。一挙手一投足が注目される話題の新知事なだけに、テレビ局などマスメディアの取材も多く入りました。祝辞の中で語られた2020年はパラリンピックを重視する、東京から電柱を一掃するといった発言がピックアップされて報じられました。当日は衆議院の補欠選挙の投開票日でしたが、スケジュールの合間を縫って、知事自らの強い希望で「アイメイト・デー」に出席したとのことです。
小池知事に続いて、来賓の都議会議員、国会議員の方々の挨拶がありました。60年に及ぶアイメイトの歴史の中では、多くの議員の皆様に「視覚障害者の自立をお手伝いする」というアイメイト事業の本分をご理解いただき、法整備等に尽力いただいています。
アイメイトはこうした席では、使用者の足元に伏せ、寝たりうとうとしたりと、静かにしています。
続いてアイメイト協会・塩屋隆男代表理事が挨拶し、協会スタッフの紹介がありました。アイメイト協会の歴史は、前理事長の塩屋賢一が、国産盲導犬第1号の「チャンピイ」と盲学校教師の河相洌(かわい・きよし)さんのペアを送り出した1957年に遡ります。その後、盲導犬育成のパイオニアとして次々とペアを育て、1967年には「日本盲導犬協会」を設立しました。この団体は現在も存続していますが、塩屋賢一は、「視覚障害者の自立をお手伝いをする」という本分を貫くため、過分な利益を得ることばかりに注力する当時の理事らと袂を分かち、自ら設立した日本盲導犬協会とは1970年に訣別しています。そして、翌1971年に新たに「東京盲導犬協会」を設立しました。「盲人を導く犬」という誤った認識を与える「盲導犬」に代わる「アイメイト」の呼称は、この頃から使っています。第1回「アイメイト・デー」が開催されたのも、1972年のことです。1989年に現在の「アイメイト協会」に名称変更し、現在に至ります。
来年2017年は、河相さんとチャンピイが羽ばたいた1957年から数えて、アイメイト60周年に当たります。アイメイト協会では、さまざまな60周年記念事業を計画していますが、この日は、『アイメイト60周年スペシャルサイト』の開設が案内されました。アイメイト60年の歴史や、塩屋賢一の歩み、使用者のインタビューといったコンテンツが順次展開されます。
会場では、その後、出席した使用者の自己紹介やアイメイト後援会のチャリティ・グッズの販売等が行われました。
そして、休憩を挟んで現役使用者、繁殖奉仕者、飼育奉仕者、リタイア犬奉仕者、アイメイト後援会員、歩行指導員のスピーチがありました。アイメイトに対する強い愛情が、それぞれの立場からユーモアを交えて語られました。繁殖奉仕とは、繁殖犬(母犬または父犬)を預かり、出産や育児を手伝うボランティアです。子犬たちは生後2ヶ月を過ぎるとそれぞれ飼育奉仕者に引き渡され、1年間を過ごした後、協会に戻って歩行指導員の訓練を受けます。ちなみに、アイメイト協会で犬の訓練を行うのは、「訓練士」ではなく、「歩行指導員」です。アイメイト歩行は人と犬との共同作業であり、犬の訓練のみでは完結しません。指導員の業務は多岐に渡りますが、最も重要なのは、人と犬のペアに対する「歩行指導」です。塩屋賢一は常々、「人が主役、犬は名脇役」と語っていました。
アトラクションは、芸人の立川真司さんによる鉄道のモノマネ。アイメイト使用者は鉄道をよく利用される方が多く、ホームの放送など鉄道関連の「音」を再現する立川さんの芸は特にウケたようです。最後に後援会によるスピードくじの抽選会があり、「アイメイト・デー」はにぎやかなうちに幕を閉じました。来年の「アイメイト・デー」は、アイメイト60周年記念大会となります。
開会前には、アイメイト後援会員も会場前で来場者のご案内や受付などをさせていただきました。正しいアイメイト歩行は、視覚に障害を持つ方に歩行の自由と安全を保証するものです。後援会員はそのことをよく分かっていますので、会場案内係も、手取り足取り駅から会場まで「誘導」するわけではありません。基本的には晴眼者に対する案内と同様に、会場の入り口はどこにあるのか、建物内のどこの階段を使うのか、といった現地に来てみなければ分からないような細かな道順をご案内します。
「アイメイト・デー」の会場になったのは、一般的な民間のホールです。身体障害者補助犬法により、アイメイトをはじめとする補助犬は、ホールなどの公共施設に入場する権利があります。アイメイトは使用者の目となる「体の一部」であり、アイメイトの入場を拒否することは、使用者自身の入場を拒否するのと同じだという見解のもと、同法は定められています。もちろん、使用者とアイメイトの方も、一定のマナーを守るのは当然です。たとえば、アイメイトは、使用者の指示がない限り勝手に排泄しないように訓練されていますが、「アイメイト・デー」では毎回、指定の場所で「ワン・ツー」(排泄)を済ませてから入場します。もちろん、使用後は、協会スタッフらがきれいにワン・ツー場所を掃除します。
会の冒頭で登壇した小池知事には、訓練中のアイメイトと共に入場してもらいました。一挙手一投足が注目される話題の新知事なだけに、テレビ局などマスメディアの取材も多く入りました。祝辞の中で語られた2020年はパラリンピックを重視する、東京から電柱を一掃するといった発言がピックアップされて報じられました。当日は衆議院の補欠選挙の投開票日でしたが、スケジュールの合間を縫って、知事自らの強い希望で「アイメイト・デー」に出席したとのことです。
小池知事に続いて、来賓の都議会議員、国会議員の方々の挨拶がありました。60年に及ぶアイメイトの歴史の中では、多くの議員の皆様に「視覚障害者の自立をお手伝いする」というアイメイト事業の本分をご理解いただき、法整備等に尽力いただいています。
アイメイトはこうした席では、使用者の足元に伏せ、寝たりうとうとしたりと、静かにしています。
続いてアイメイト協会・塩屋隆男代表理事が挨拶し、協会スタッフの紹介がありました。アイメイト協会の歴史は、前理事長の塩屋賢一が、国産盲導犬第1号の「チャンピイ」と盲学校教師の河相洌(かわい・きよし)さんのペアを送り出した1957年に遡ります。その後、盲導犬育成のパイオニアとして次々とペアを育て、1967年には「日本盲導犬協会」を設立しました。この団体は現在も存続していますが、塩屋賢一は、「視覚障害者の自立をお手伝いをする」という本分を貫くため、過分な利益を得ることばかりに注力する当時の理事らと袂を分かち、自ら設立した日本盲導犬協会とは1970年に訣別しています。そして、翌1971年に新たに「東京盲導犬協会」を設立しました。「盲人を導く犬」という誤った認識を与える「盲導犬」に代わる「アイメイト」の呼称は、この頃から使っています。第1回「アイメイト・デー」が開催されたのも、1972年のことです。1989年に現在の「アイメイト協会」に名称変更し、現在に至ります。
来年2017年は、河相さんとチャンピイが羽ばたいた1957年から数えて、アイメイト60周年に当たります。アイメイト協会では、さまざまな60周年記念事業を計画していますが、この日は、『アイメイト60周年スペシャルサイト』の開設が案内されました。アイメイト60年の歴史や、塩屋賢一の歩み、使用者のインタビューといったコンテンツが順次展開されます。
会場では、その後、出席した使用者の自己紹介やアイメイト後援会のチャリティ・グッズの販売等が行われました。
そして、休憩を挟んで現役使用者、繁殖奉仕者、飼育奉仕者、リタイア犬奉仕者、アイメイト後援会員、歩行指導員のスピーチがありました。アイメイトに対する強い愛情が、それぞれの立場からユーモアを交えて語られました。繁殖奉仕とは、繁殖犬(母犬または父犬)を預かり、出産や育児を手伝うボランティアです。子犬たちは生後2ヶ月を過ぎるとそれぞれ飼育奉仕者に引き渡され、1年間を過ごした後、協会に戻って歩行指導員の訓練を受けます。ちなみに、アイメイト協会で犬の訓練を行うのは、「訓練士」ではなく、「歩行指導員」です。アイメイト歩行は人と犬との共同作業であり、犬の訓練のみでは完結しません。指導員の業務は多岐に渡りますが、最も重要なのは、人と犬のペアに対する「歩行指導」です。塩屋賢一は常々、「人が主役、犬は名脇役」と語っていました。
アトラクションは、芸人の立川真司さんによる鉄道のモノマネ。アイメイト使用者は鉄道をよく利用される方が多く、ホームの放送など鉄道関連の「音」を再現する立川さんの芸は特にウケたようです。最後に後援会によるスピードくじの抽選会があり、「アイメイト・デー」はにぎやかなうちに幕を閉じました。来年の「アイメイト・デー」は、アイメイト60周年記念大会となります。
by eymategoods
| 2016-10-25 17:30
| イベント