2017 アイメイト60周年 アイメイトサポートカレンダー 販売開始
2017年版の「アイメイト・サポートカレンダー」が、10月1日からアイメイトサポートグッズ・オンラインショップで販売中です。当ブログでは、全ページの内容に加えて、未使用カット、撮影秘話も余すところなく紹介致します。(撮影担当・内村コースケ)
2017 アイメイトサポートカレンダー
2017年版には、例年と違うスペシャルな所が一つあります。上の表紙の画像の右下に注目してください。「60」をかたどった「EYEMATE 60YERS Since1957」のロゴマークがありますね。来年2017年は、国産盲導犬第1号「チャンピイ」と使用者の河相 洌(きよし)さんが卒業した1957年から数えて60周年にあたります。アイメイト協会は、チャンピイを育てた塩屋賢一直系の唯一無二の育成団体です。日本の盲導犬の歴史はチャンピイと共に1957年に始まりましたが、ここから一本の道で現在までつながっていて、2017年に60周年を祝えるのはアイメイト協会だけです。来年は、このロゴマークがあちこちで見られると思いますが、『2017 アイメイト・サポートカレンダー』が、いち早く最初に使用しました。
アイメイト・サポートカレンダーの目的は、売上の寄付とともに、アイメイトを正しく理解してもらうための啓発にあります。そのため、表紙や毎月の写真に加えて、巻末に見開きの特集ページを設けて、毎年違ったテーマでアイメイトやアイメイトにまつわることを解説しています。今回は、【アイメイト60周年 『チャンピイ』から「アイメイト」へ】と題して、ズバリ1957年の河相さんとチャンピイの歩行指導のお話や、現在までのアイメイトの歩みについて書いています。
さて、表紙は例年アイメイト候補の子犬の写真を採用していますが、今年は同じ繁殖犬から生まれた兄弟姉妹の集合写真です。これは私のこだわりなのですが、子犬を並べて撮る場合でも、学校の集合写真のように全員が正面を向いて行儀よく座っているのではなく、1頭1頭の個性が伺えるような、少し崩れた瞬間を狙っています。他に以下のような候補も検討しました。
カレンダーの写真ですから、季節感も大切です。年間を通じて行われる撮影は毎年秋の紅葉シーズンに始まります。2017年版の場合は、2015年の秋の紅葉ということになります。この年の紅葉は遅く、東京では師走の足音が聞こえてきてもなかなか色づきませんでした。このイチョウ並木での飼育奉仕の写真は11月22日の撮影ですが、当初予定していた都心近くの公園のイチョウやモミジはまだ青々としていたため、急遽郊外の公園にロケ地を変更して撮影したものです。
未使用候補写真
この時の写真では、カレンダーと同じ「アイメイト・サポートグッズ」のクリアファイルとミニレターも作りました。
母犬を預かり、出産と生後2ヶ月までの子育てを手伝う繁殖奉仕。子犬たちのかわいさについ目を奪われがちですが、母犬と奉仕家庭の皆さんの寝る間を惜しんでの献身を忘れてはなりません。
12月は年の瀬の繁華街を歩く現役使用者と奥様です。
他の盲導犬育成団体と違い、アイメイト協会では安全なアイメイト歩行に対する責任から、全盲の方のみを歩行指導に受け入れています。視覚障害といっても、一切の光を感じない方から、視野の中心のみ見える方、逆に中心がぼやけてしまうケースまで、障害の形態・度合いはさまざまです。アイメイト協会では、若干の視力に頼りがちになってしまうとかえって危険だという考え方から、残存視力の度合いによっては歩行指導をお断りする場合があります。この方針が安全につながっていることは、これまでにアイメイトの重大事故は一例もないことが証明しています。今回ご登場いただいたご夫婦だけでなく、5年前の『アイメイト 55周年記念誌』の現役使用者インタビューに応えていただいた下の写真のご夫婦もそうですが、アイメイト使用者のご主人に弱視や白杖使用の奥様が従って歩く姿は、アイメイト歩行の安全性・確実性・自由度を知っていれば決して驚くようなことではありません。つまり、その人がどれだけ「見えているか」は、視力だけでは量れないということです。
雪の撮影も今回は苦労しました。前年の記録的な大雪と打って変わって、2016年の年明けはどこも雪不足。1月の採用作は、標高2000mまで上がってようやく見つけたまとまった雪のある山中の雪原です。未使用カットのスキー場での様子は、かろうじて人工雪があるという状況でした。
2月になるとまとまった雪が降った地方もあり、雪景色の撮影も無理なくできるようになりました。真冬や逆に暑い季節の子犬の野外での撮影は、体調を考慮してなるべく手早く、繁殖奉仕家庭の敷地内で行う必要があります。四季折々の表情豊かな自然の中にあるこちらのお宅には毎年お世話になっていますが、その理由の一つは、安全な環境下で撮影できるという点です。
梅園での撮影は今回が初めてです。16歳のご長寿の不適格犬です。アイメイトは総じて、平均的なラブラドール・レトリーバーに比べて長生きする傾向にあります。アイメイトには向かないと判断され、通常1〜2歳で家庭犬として奉仕家庭に引き取られる不適格犬も、同じ血筋を引き、アイメイトと同じように大事にされますので、やはり長寿犬が多いようです。
恒例の4月の桜は、今年は色の濃い寒桜を採用しました。子供とペットは、写真を撮る側としては“二大難しい被写体”なのですが、アイメイト(この犬の場合は不適格犬)は例外です。仲良く一緒に写ってくれた奉仕家庭のお孫さんも、とても上手にモデルをしてくれました。もちろん家庭犬でも当てはまることですが、小さいうちから動物と一緒に暮らしたり日常的に触れ合うことは、お子さんの成長のプラスになることでしょう。
昨年から今年にかけては、アイメイトのリタイアについても色々と考えさせられることがありました。アイメイトの奉仕者の場合、リタイア犬=老犬が初めて一緒に暮らす犬だという人も少なくありません。命には限りがあるという現実と必ず向き合うことになるこの奉仕活動を進んで引き受けている人が少なからずいるということを、私たちはきちっと認識するべきだし、前向きに受け止めなければいけないと思います。そして、どうしてもまだカレンダーの写真として採用するには“時期尚早”と、候補に挙げて見送った写真もあります。写真は一目瞭然ですべてを伝えることができる素晴らしいメディアである反面、情緒的な誤った反応も引き起こしがちです。リタイアに対する認識に関しては、もっともっと社会全体の成長を期待したところです。
雨の日に外を歩かせてかわいそうだと、街でアイメイトの訓練・歩行指導を見て言ってくる人がいまだにいるといいます。あなたの職場は、雨が降ったら休めるでしょうか?外出先で雨に遭ったら、移動をあきらめますか?アイメイトは「歩行の自由」を実現してくれる大切なパートナーです。「いつでも、でこへでも、好きな時に」出かけられるよう、60年の実績を受け継ぐプロの歩行指導員が、適切に、犬に最大限の敬意を払いながら、気候の変化にも柔軟に対応できるアイメイトへと育てているのです。当然、使用者の皆さんもそれを十分に理解して、日々パートナーと共に歩んでいるのです。
アイメイトになるのは、ラブラドール・レトリーバーです(チャンピイの時代はジャーマン・シェパードでした)。もともと、ハンターが撃ち落とした水鳥などを水面からレトリーブ(回収)する仕事をしていた犬種ですから、元来は水遊びや泳ぐのが大好きです。でも、数多くのアイメイト、候補犬、不適格犬を見たりお話を聞いていると、中には「絶対に泳がない」とか「水に足を踏み入れたがらない」という犬もいます(先の雨の中を歩く歩かないの話とはまた別です。お仕事中とそうでない時のオン・オフの切り替えができるのがアイメイトです)。考えてみれば、陰気なイタリア人もいれば、私のようにぐうたらな日本人もたくさんいます。犬の場合も、犬種の特徴を超えた個性があるのが当たり前ですね。
アイメイトの訓練は夏場も行われていますが、さすがに猛暑日が続く夏場は特に、時間帯や場所に十分に配慮しています。屋外に出るのは早朝や夕方にとどめたり、ふだんの市街地を避けて緑の多い大きな公園に出かけたりします。人間の場合も、最近は真夏の炎天下で常軌を逸したような運動をさせて水も飲むなというような根性主義は減ってきましたね。当然のことですが、アイメイトの訓練は昔から、十分に犬たちの体調に注意しながら行われています。
人が犬や猫、動物に癒やされるのは、その純真さゆえでしょう。動物の純粋無垢な目は、人の純心を引き出します。動物の純真さ、人の純心が弄ばれることのない世の中になってほしいものです。
2017 アイメイトサポートカレンダー 『アイメイトサポートグッズ・オンラインショップにて販売中(1,000円)
2017 アイメイトサポートカレンダー
2017年版には、例年と違うスペシャルな所が一つあります。上の表紙の画像の右下に注目してください。「60」をかたどった「EYEMATE 60YERS Since1957」のロゴマークがありますね。来年2017年は、国産盲導犬第1号「チャンピイ」と使用者の河相 洌(きよし)さんが卒業した1957年から数えて60周年にあたります。アイメイト協会は、チャンピイを育てた塩屋賢一直系の唯一無二の育成団体です。日本の盲導犬の歴史はチャンピイと共に1957年に始まりましたが、ここから一本の道で現在までつながっていて、2017年に60周年を祝えるのはアイメイト協会だけです。来年は、このロゴマークがあちこちで見られると思いますが、『2017 アイメイト・サポートカレンダー』が、いち早く最初に使用しました。
アイメイト・サポートカレンダーの目的は、売上の寄付とともに、アイメイトを正しく理解してもらうための啓発にあります。そのため、表紙や毎月の写真に加えて、巻末に見開きの特集ページを設けて、毎年違ったテーマでアイメイトやアイメイトにまつわることを解説しています。今回は、【アイメイト60周年 『チャンピイ』から「アイメイト」へ】と題して、ズバリ1957年の河相さんとチャンピイの歩行指導のお話や、現在までのアイメイトの歩みについて書いています。
さて、表紙は例年アイメイト候補の子犬の写真を採用していますが、今年は同じ繁殖犬から生まれた兄弟姉妹の集合写真です。これは私のこだわりなのですが、子犬を並べて撮る場合でも、学校の集合写真のように全員が正面を向いて行儀よく座っているのではなく、1頭1頭の個性が伺えるような、少し崩れた瞬間を狙っています。他に以下のような候補も検討しました。
カレンダーの写真ですから、季節感も大切です。年間を通じて行われる撮影は毎年秋の紅葉シーズンに始まります。2017年版の場合は、2015年の秋の紅葉ということになります。この年の紅葉は遅く、東京では師走の足音が聞こえてきてもなかなか色づきませんでした。このイチョウ並木での飼育奉仕の写真は11月22日の撮影ですが、当初予定していた都心近くの公園のイチョウやモミジはまだ青々としていたため、急遽郊外の公園にロケ地を変更して撮影したものです。
未使用候補写真
この時の写真では、カレンダーと同じ「アイメイト・サポートグッズ」のクリアファイルとミニレターも作りました。
母犬を預かり、出産と生後2ヶ月までの子育てを手伝う繁殖奉仕。子犬たちのかわいさについ目を奪われがちですが、母犬と奉仕家庭の皆さんの寝る間を惜しんでの献身を忘れてはなりません。
12月は年の瀬の繁華街を歩く現役使用者と奥様です。
他の盲導犬育成団体と違い、アイメイト協会では安全なアイメイト歩行に対する責任から、全盲の方のみを歩行指導に受け入れています。視覚障害といっても、一切の光を感じない方から、視野の中心のみ見える方、逆に中心がぼやけてしまうケースまで、障害の形態・度合いはさまざまです。アイメイト協会では、若干の視力に頼りがちになってしまうとかえって危険だという考え方から、残存視力の度合いによっては歩行指導をお断りする場合があります。この方針が安全につながっていることは、これまでにアイメイトの重大事故は一例もないことが証明しています。今回ご登場いただいたご夫婦だけでなく、5年前の『アイメイト 55周年記念誌』の現役使用者インタビューに応えていただいた下の写真のご夫婦もそうですが、アイメイト使用者のご主人に弱視や白杖使用の奥様が従って歩く姿は、アイメイト歩行の安全性・確実性・自由度を知っていれば決して驚くようなことではありません。つまり、その人がどれだけ「見えているか」は、視力だけでは量れないということです。
雪の撮影も今回は苦労しました。前年の記録的な大雪と打って変わって、2016年の年明けはどこも雪不足。1月の採用作は、標高2000mまで上がってようやく見つけたまとまった雪のある山中の雪原です。未使用カットのスキー場での様子は、かろうじて人工雪があるという状況でした。
2月になるとまとまった雪が降った地方もあり、雪景色の撮影も無理なくできるようになりました。真冬や逆に暑い季節の子犬の野外での撮影は、体調を考慮してなるべく手早く、繁殖奉仕家庭の敷地内で行う必要があります。四季折々の表情豊かな自然の中にあるこちらのお宅には毎年お世話になっていますが、その理由の一つは、安全な環境下で撮影できるという点です。
梅園での撮影は今回が初めてです。16歳のご長寿の不適格犬です。アイメイトは総じて、平均的なラブラドール・レトリーバーに比べて長生きする傾向にあります。アイメイトには向かないと判断され、通常1〜2歳で家庭犬として奉仕家庭に引き取られる不適格犬も、同じ血筋を引き、アイメイトと同じように大事にされますので、やはり長寿犬が多いようです。
恒例の4月の桜は、今年は色の濃い寒桜を採用しました。子供とペットは、写真を撮る側としては“二大難しい被写体”なのですが、アイメイト(この犬の場合は不適格犬)は例外です。仲良く一緒に写ってくれた奉仕家庭のお孫さんも、とても上手にモデルをしてくれました。もちろん家庭犬でも当てはまることですが、小さいうちから動物と一緒に暮らしたり日常的に触れ合うことは、お子さんの成長のプラスになることでしょう。
昨年から今年にかけては、アイメイトのリタイアについても色々と考えさせられることがありました。アイメイトの奉仕者の場合、リタイア犬=老犬が初めて一緒に暮らす犬だという人も少なくありません。命には限りがあるという現実と必ず向き合うことになるこの奉仕活動を進んで引き受けている人が少なからずいるということを、私たちはきちっと認識するべきだし、前向きに受け止めなければいけないと思います。そして、どうしてもまだカレンダーの写真として採用するには“時期尚早”と、候補に挙げて見送った写真もあります。写真は一目瞭然ですべてを伝えることができる素晴らしいメディアである反面、情緒的な誤った反応も引き起こしがちです。リタイアに対する認識に関しては、もっともっと社会全体の成長を期待したところです。
雨の日に外を歩かせてかわいそうだと、街でアイメイトの訓練・歩行指導を見て言ってくる人がいまだにいるといいます。あなたの職場は、雨が降ったら休めるでしょうか?外出先で雨に遭ったら、移動をあきらめますか?アイメイトは「歩行の自由」を実現してくれる大切なパートナーです。「いつでも、でこへでも、好きな時に」出かけられるよう、60年の実績を受け継ぐプロの歩行指導員が、適切に、犬に最大限の敬意を払いながら、気候の変化にも柔軟に対応できるアイメイトへと育てているのです。当然、使用者の皆さんもそれを十分に理解して、日々パートナーと共に歩んでいるのです。
アイメイトになるのは、ラブラドール・レトリーバーです(チャンピイの時代はジャーマン・シェパードでした)。もともと、ハンターが撃ち落とした水鳥などを水面からレトリーブ(回収)する仕事をしていた犬種ですから、元来は水遊びや泳ぐのが大好きです。でも、数多くのアイメイト、候補犬、不適格犬を見たりお話を聞いていると、中には「絶対に泳がない」とか「水に足を踏み入れたがらない」という犬もいます(先の雨の中を歩く歩かないの話とはまた別です。お仕事中とそうでない時のオン・オフの切り替えができるのがアイメイトです)。考えてみれば、陰気なイタリア人もいれば、私のようにぐうたらな日本人もたくさんいます。犬の場合も、犬種の特徴を超えた個性があるのが当たり前ですね。
アイメイトの訓練は夏場も行われていますが、さすがに猛暑日が続く夏場は特に、時間帯や場所に十分に配慮しています。屋外に出るのは早朝や夕方にとどめたり、ふだんの市街地を避けて緑の多い大きな公園に出かけたりします。人間の場合も、最近は真夏の炎天下で常軌を逸したような運動をさせて水も飲むなというような根性主義は減ってきましたね。当然のことですが、アイメイトの訓練は昔から、十分に犬たちの体調に注意しながら行われています。
人が犬や猫、動物に癒やされるのは、その純真さゆえでしょう。動物の純粋無垢な目は、人の純心を引き出します。動物の純真さ、人の純心が弄ばれることのない世の中になってほしいものです。
2017 アイメイトサポートカレンダー 『アイメイトサポートグッズ・オンラインショップにて販売中(1,000円)
by eymategoods
| 2016-09-30 00:24
| Goods カレンダー